年代別お勧めビジネスファッション:自分ポジショニング

以前、20代から40代にかけての、ビジネスファッションについての自分の遍歴を記しました。そんな時、「戦略の創造学」という本で、顧客の分類の仕方のような図を見つけました。このような方法で、年代ごとの好みを分かりやすく表せるのではないかと思い、トライしてみることにしました。

戦略の創造学

山脇秀樹著「戦略の創造学ードラッガーで気づき、デザイン思考で創造し、ポーターで戦略を実行する」という本があります。ビジネスをうまくいかせるためには、アーティストがやるような「デザイン思考」とMBAで学ぶような「戦略思考」の両方が必要だということを述べた本です。とても面白く、勉強になる本です。

その本の中に、顧客の特徴をマッピングすることで顧客の動向の変化を把握し、そこから自社がどのような顧客を獲得しようとするのかを考察するための図が出てきます。

例えば、旅行者の嗜好の移り変わりを記したものがこれになります。

山脇秀樹著「戦略の創造学ードラッガーで気づき、デザイン思考で創造し、ポーターで戦略を実行する」 より作成

かつては日本の中高年齢層の旅行と言えば、第三象限の安全な観光=パックツアーだった。ところが最近は顧客の嗜好が第二象限に移ってきているため、田舎暮らし体験とか、クラフトワークとか、滞在型で体験型のツアーを提供することが求められている、などと考察するためのツールです。

私はビジネスファッションのマーケッターではなくて顧客側ですが、自分の嗜好の変遷をこのように示してみるとおもしろいしわかりやすいのではないかとおもいました。

おっさんの嗜好の変遷

以前の記事に書いた内容を図示すると、こんな感じだと思います。

20代のころは、とりあえず安くて着られれば良いというところからスタートして、30代から少しずつ機能性をうたったアイテムが好きになり、年齢とともに少しずつグレードが上がっていきます。

しかし40代半ばにして、機能ではなくて伝統的なファッションに惹かれていきます。良いものを、手入れしながら使っていくという世界に気付きました。

20代、30代のビジネスマンへのお勧め

ざっくりとした概要が整理できたところで、もう少し各論的におっさんのお勧めを書いていきます。今回は20代、30代のお勧めです。

20代、30代は、おっさんにはファッションにかける金銭的、時間的、精神的余裕はありませんでした。

目の前の仕事に一生懸命で、業界の慣習を覚えていったり、将来に向けての能力開発に取り組んだりといったことに自分のリソースをかけていました。

また結婚して、子供ができてというライフイベントもあります。新しい家庭を築いて、子供と一緒の時間を過ごして、と無我夢中でした。仕事にもプライベートにも忙しく、とてもファッションにかまう余裕はありませんでした。

こんな時代なので、身に着けるものは比較的安価で、メンテナンスに手間がかからないものが良いと思います。

ただし私のように、学生時代に買ってもらったスーツを使い続けるというものどうかと思います。やはりビジネスファッションにはセオリーがありますので、安価でもセオリーに沿ったものにした方が良いと思います。

またファッションは自己主張の表れだ、などとも考えないほうが良いと思います。ことビジネスファッションについては、相手に良い印象を与えるのが目的であって、自己主張は控えるべきです。それはプライベートのファッションでやればよいこと。

そのような観点で、お勧めするのは以下になります。

スーツ

一番大事なのはサイズ感です。次に色柄。これらがきちんとしていれば安いスーツで全く問題ないと思います。

スーツが一番安く買えるのは、量販店とかデパートの催事場で既製品を買うことです。既製品が自分の体に合う人は、それで良いと思います。

  • 肩幅:肩の線が、自分の方とちょうど合うように
  • 胸幅:ボタンを締めた時に、襟が変に開かないように
  • 袖丈:手をブランと下げた時に、シャツの袖が1cmくらい見えるように
  • 着丈:手を下げた時に、親指の第一関節くらいのところに来るように
  • スラックスの裾の長さ:靴の上にぎりぎり乗るか乗らないか。ハーフクッション。
  • 裾の処理:ダブルのほうがカジュアルらしいです。好みでよいと思います。

既製品のサイズが合わない方もいると思います。私は肩幅が広く、胸が厚いのですが、それに合わせると大きなスーツを買ってサイズ直しが必要になります。袖丈は直しても問題ないのですが、着丈を直すと、ボタンの位置とかポケットの位置とか、全体のバランスが崩れてしまいます。こういった場合はオーダーにせざるを得ないと思います。既製服が1-2万円、オーダー品が安ければ3万円を着るくらいでありますので、オーダー品は想像するほど高いものではありません。

色については、ネイビーがお勧めです。2着目、3着目もネイビーで、色の濃さを少し変えればよいのではないかと思います。ネイビーは誠実で清潔な感じがするので、若者にはうってつけと思います。ネイビーばかりは嫌だという方はグレーもありだと思います。どちらにしても、無地がよいです。

スーツの色をいろいろにすると、それに合わせる様々なものを色違いでそろえる必要があります。上級者になるとそれがおしゃれのだいご味になるのですが、この年代の趣旨には反しますので、スーツはネイビー、靴は黒、と決めておくのが良いと思います。

スーツの色に、黒は選ばないでください。お店に行くと「最近は黒を選ばれる方が多いですよ」などと言われますが、それは無視してください。黒は冠婚葬祭用です。

着数は、毎日同じものを着ない程度に揃えましょう。毎日スーツを着る場合は、3着あると中2日でローテーションすることができます。これを春夏用と秋冬用で3着ずつというのがマックス。週に1回着るかどうかという場合は、春夏用と秋冬用が1着ずつあればOKです。

シャツとネクタイ

シャツは既製品で構わないので、白を選びましょう。汚れることが多いので消耗品と割り切って安価なものでよいと思います。値段よりも、洗濯してアイロンをかけたシャツを着ましょう。

時に、ボタンが黒い糸で縫い付けられていたり、ボタンホールが黒く縁どられていたり、袖や襟の裏側がチェックになっているシャツがあります。そういう装飾は無用の長物ですので、絶対に選ばないように。

ネクタイも、ネイビーやブルーの無地が良いと思います。青系の色でも濃淡にはバリエーションがあります。紺色でシックに決めるもよし、ライトブルーでさわやかに決めるもよし。明るさを変えるだけで、自分の見せ方を変えることができます。

ネクタイも汚れやすいので、消耗品と思った方が良いと思います。3000円くらいでよいと思います。

防水が効いている、スニーカーのように歩きやすい、そういった優れた革靴が日本にはたくさんあります。テクシーリュクス、ハイドロテック、ABCマートのホーキンス、そういうものを選べばよいと思います。

ハイドロテックには合皮の靴があります。これが一番手入れが簡単です。テクシーリュクスやホーキンスは本革ですが、撥水・防水処理されていますので、それほど頻繁に手入れする必要はないと思います。ただし、ほこりや土がついているのはいただけません。履き終わったら、簡単にブラシをかけて汚れを取りましょう。

色は黒です。靴の形はストレートチップがよいです。ストレートチップは最もフォーマルな靴です。場合によっては少し「堅すぎる」印象を与えると思います。しかし若者が「堅すぎる」と思われて悪いシーンはほとんどないと思います。

革靴で、先のほうがとがっていたり、靴先がすごく長いものがあります。なかには先が少し反っていて、魔法使いかなと思うような靴もあります。こういうのは絶対にやめましょう。先っぽは丸くて短いのがよいです。

靴の数は中2日で履けるくらいがよいです。1日履いたら2日休ませると、湿気も取れてきれいに長く履くことができます。

時計

ソーラー電波時計が、最も手間がかからないと思います。それでいて時間も正確。金属のブレスレットが良いと思います。革ベルトは経年劣化しますし、水にぬれるとそれが早まります。

最も安価なのは、Wave Ceptorだと思います。1万円を切る値段で、10年以上ノーメンテナンスで使えます(個人の感想です)。

Apple watchという選択肢もあります。入社早々の新人さんがApple Watchをしていたらどうかと考えてみましたが、私は特に抵抗はありません。人や職場によるかもしれませんが。

ナイロン製の防水のきいたビジネスバッグ、色は黒、です。ナイロン製でも例えばTumiのように高価なものもありますが、1万円以内で耐久性も十分な鞄を探すことができると思います。

形は、肩掛けベルトのついたビジネスバッグが良いと思います。普段はスーツの生地を痛めないためにも、鞄は手に持つべきだと思います。しかし若者は時に荷物をたくさん持たなくてはならない時があります。帰宅時に買い物を頼まれて両手に食品というときもあると思います。いざというときに両手を使えるように、肩掛けベルトはあった方が良いと思います。

3wayバッグとして、リュックにも手提げにもできる鞄があります。これはOKと思います。いかにものリュックはビジネスにはNGかなと思います。

まとめ

今回は、おっさんのビジネスファッション遍歴をマッピングし、20代、30代のお勧めを書きました。

若いうちはファッションはビジネスに適してはいるが必要最低限のものとし、それ以外のことにリソースを割こうというコンセプトでした。

次回は、少し余裕の出てきた40代について書いてみたいと思います。