レベルソ尋ねて三千里(その2):実機を見て購入決心を固めるまで

時計屋でレベルソの美しさに魅了され、その歴史を知り、実機を見に行くようになりました。初代レベルソデュオに狙いを定め、ウェブサイトを、はたまた時計店をめぐります。

宝石広場来訪

タイムトンネルさんを出て、渋谷まで移動し、宝石広場に行ってみます。渋谷駅で降りるなんて何十年ぶりだろう・・・?キョロキョロしながら、渋谷駅から歩いてすぐのビルに行ってみます。タイムトンネルさんはなんだかサロンのようでしたが、こちらは結構お客さんがいます。若い人が多い。しかもホスト系?私は明らかに場違いな見た目ですが、まあ誰も気にしないだろうし、人ごみに紛れてほったらかしてくれるほうが気が楽というものです。

レベルソに行き着く前にケースの中の時計を見ていきます。ウェブでしか見たことのない時計がたくさんあります。アイドルとか有名人に会いに来たお上りさんみたいだなあ。ここではIWCのパイロットウォッチが目に入ります。ウェブでみるとちょっとシンプルに思えたけど、実物は格好いいなあ。大きさもちょうどよい。なかでもシルバーのスピットファイアという時計に目を奪われます。他のパイロットウォッチは黒い盤面のものがほとんどですが、私が見ているのはシルバーの盤面にシルバーのインデックス、無茶苦茶きれいです。茶色の革ベルトがついたものと、ステンレスのブレスがついたものがあります。どっちも格好いいなあ。私はどうも貴公子的な時計に惹かれるようです。自分の新たな嗜好を発見して意外です。

さてトラップのようにいろんな時計に引っ掛かりながら、ルクルトのコーナーにたどり着きました。こちらには初代デュオがあることをウェブでチェックしていました。初代デュオの黒面の針には夜光としてトリチウムが使われているものがあります。トリチウムの夜光はだんだんとその効力を失っていき、夜光焼けと言って茶色みを帯びた色に変色していきます。それがまた味があって格好いいのです。時計に一気にアンティーク感が出てきます。宝石広場さんに会ったのは、その夜光焼けした初代デュオでした。

はい。もう見た瞬間から格好いいです。期待を裏切りません。決して大きな時計ではありませんが、その分凝縮された美しさがあります。凝りに凝ったギョーシェが余計にそう見せるのでしょう。大きなレベルソのほうが、それだけ複雑機構を積んだりしていて高価なのですが、私はこのデュオが断然良いと思いました。

レベルソをしばらく眺めたのちに、他の時計も見て回ります。タイムトンネルさんでムーンフェイズをみてきたからでしょうか、同種の時計が目に入りました。クロノスイスのトリプルカレンダームーンフェイズです。こちらも黒い盤面に月が映えています。しかもその月に顔が書いてあります。絵本を思わせます。わ~、こういうのもいいなあ。レベルソにもムーンフェイズがありますが、まあ月の満ち欠けなんて特にいらないなと思っていました。でも2つのトリカレムーンをみて考えが変わりました。月・日・曜日というトリプルカレンダーと月の満ち欠けが一つの盤面に表現されているという機械っぽさと、なんとなく寓話的というかかわいらしいイメージのアンバランスさがなんとも良いのです。

スピットファイア、トリカレムーンに心乱され、店外に脱出です。お店に行くたびに欲しい時計が増える・・・。

家で熟考

そもそも、と考えます。

発端は、オリエントのレトログラード(WZ0061DE)が大きすぎたことだよな。それで革ベルトのドレス系の時計が欲しくなったと。その初心から考えるとレベルソデュオは格好いいし、サイズ感もちょうどよい。当初の意図とあっているなあ。

しかしノモスがあるんだけど、と考えます。ノモスのほうが安価ではある。革ベルトのドレス時計、大きすぎないサイズ、上品でアイコニックなバウハウスデザイン。機械もしっかりと作りこんでいる、信頼のドイツ製。何が不満?ともう一人の自分が理詰めで攻めてきます。

こう詰められるとグーの音も出ません。理屈では論破できません。そこで格言が思い出されます。「買う理由が価格ならば買うな、買わない理由が価格ならば買っておけ」

価格を度外視したらどうなんだろう?ってことを考える時点でレベルソが欲しいということですね!

本当はスピットファイアとかトリカレムーン時計も大変気になっています。しかしやっぱりレベルソがいい。

格言に背中を押されて

以上の葛藤を経て、レベルソに焦点を絞りました。レベルソよりも高い時計はたくさんありますが、ある意味では一つの到達点といえる時計だと思います。少なくとも四角い時計でこれ以上のものはないだろう!!

とはいえ、中古で買うわけですから、やはりできるだけ程度が良くて、できるだけ安いものを買いたいというのが人情というものです。これ以降、またウェブで時計店を巡回する日々が続きます。

タイムトンネルさんには、ゴールドのデュオしかない。ちょっとこれは金銭的にも、私の人間の格的にも手に余る。ステンレスのデュオの販売済み商品の価格を見てみると、過去には389800円で購入できたようです。ところが最近は499800円くらいが相場のよう。値上がりしているのかなあ。

宝石広場さんの夜光焼けした個体は、だいぶ高価です。う~ん。これだったらタイムトンネルさんで新しいのが出てくるのを待つかなあ。

と、Plus oneさんに、450000円の個体がありました。Plus oneさんでもかつては390000円で販売していたこともあるようです。やっぱりちょっと値上がり基調にあるのかなあ・・・。タイムトンネルさんよりもこちらのほうが安そうだなあ。

調べてみるとPlus oneさんは秋葉原にあります。ちょっと行ってみよう。いや、買うというわけではなくて、見に行くということね、と自分に言い訳しつつ。

Plus oneさんにて

秋葉原駅から少し歩いたところにお店がありました。こじんまりとしたお店で、例によって敷居が高いです。えいやっと中に入ってみます。ありました。愛しのレベルソデュオ。見た感じ目立つ傷もなさそうです。どうしようか。他の時計を見ているふりをしながら一生懸命考えます。

ちなみに、ここにもノモスやブライトリングのトリカレムーン(顔つき)があり、またもや心乱されます。

でも、もうこの時点で結論は出ているのですよね。ここで買わなかったら絶対に後悔するぞ。自分のモットーは「やらずに後悔よりも、やって反省しよう」です。新しいことを経験してみないと、どういう風になるかわからないだろ?たった一度の人生なんだからできるだけ多くのことを経験しようよ。やってみて、だめだと思ったらそこで反省すればいいんだ。そうすれば自分をバージョンアップすることができるではないか!!!・・・って時計買うことを正当化するためにずいぶんなことを持ち出してしまいました。

ということで、次回ようやくレベルソのレビューです。