レベルソ尋ねて三千里:歴史、種類、そして実機を見に行く

デパートでレベルソを見て、その奇麗さに圧倒された私。今回はレベルソについていろいろと調べてみたことを記します。レベルソにはいろいろな種類があって、自分に最適なものを選ぶのが難しくも楽しいのです。

ジャガールクルトとレベルソの歴史

ジャガールクルトとレベルその歴史についてはいろいろなところに書かれています。

私が見ていてよくまとまっているなあと思ったのは、Youtubeのこの動画(JLC Reverso Watch: Is It Worth It? (Honest Review))です。英語ですが字幕が出るので何と言っているかわかりやすいです。かいつまんでまとめてみます。

  • 1833年にアントワーヌ・ルクルトがスイスに時計製造店オープン。なかなかの発明家で、マイクロメートルまで測定できる測定器を発明したため、従来よりも高精度の時計を作ることができるようになった。また時計はパーツごとに別々の場所で作られていたのを1866年には一つの工場で作る仕組みを作った。
  • エドモンド・イエーガという時計職人。この人もすごい発明家でルクルトと共同して薄型の懐中時計を制作。で、1937年にジャガールクルトに。
  • ポロ競技をしていたイギリス人将校が、ポロ競技をしていてもガラス面に傷がつかない時計を作ってほしいと注文。
  • 「ポロするときに時計するなよ」という突込みがあるかもしれないが、馬に乗って行うポロ競技では馬が疲れすぎないように一定時間ごとに馬を交換する必要があった。よって時間を知る必要があったのだ。
  • そこでジャガールクルトは、盤面をひっくり返すとステンレス面となり、ガラスを傷つけなくて済む時計を発明。
  • レベルソは英語で”turn around"という意味。四角い盤面とアールデコ調のデザインが特徴的であった。
  • その後第二次世界大戦となり、高級時計趣味は下火に。レベルソも忘れ去られていた。しかし戦後、1972年にイタリアの時計ディーラーが倉庫に眠っていたレベルソケース200個を発見。それにムーブメントを入れて販売した。
  • ということで、レベルソは1931年に販売され、紆余曲折あったものの今年(2021年)で90周年を迎えている。

どうです?この薀蓄!!これだけで十分に欲しくなるでしょ?

レベルソの種類

レベルソクラシック

一番小さくて、もっともオーソドックスなモデル。ケースをひっくり返すと、裏側は真っ平らなすべすべステンレス。ここにエンブロービングといって、ここにイニシャルとか紋章のようなものを掘ることができる。短辺(横)が23mmで、かなり小さい。

ビッグレベルソ

ビッグというからでかいのかと思いきや、クラシックよりは大きいよという程度。横が26mmでレベルソの中では2番目に小さい。

レベルソデュオ

表と裏で違う時計が楽しめるからデュオ。表が白い盤面、裏が黒い盤面みたいな。斬新。同じ機構でも女性用のはデュエットと呼ばれるみたい。サイズはビッグレベルソと同じくらい。

ときて、さらにさらにたくさんのモデルがあり、段々にサイズが大きくなります。がんばって全モデルをレビューしようかと思ったのですが、あまりに多くて挫折してしまいました・・・。

外国の方には大きなサイズの方が好まれるのでしょうか、新しめのレベルソは大きいものが定番になっているように思います。また日付けが入ったモデル、ムーンフェイズが入ったモデル、ひっくり返すと裏側がストップウォッチになっているモデルなど、ジャガールクルトの技術力の高さを見せつけるモデルも多数。これらもサイズが大きいものが多く、複雑な機構を載せようとするとケースのサイズも大きくなってしまうというかと思います。

さらに、ステンレスでできたモデルから、ゴールドでできたモデル、はたまた盤面が青や赤の特別仕様モデルなどラグジュアリーにふったようなモデルもあります。裏スケになっているモデルでは、とてつもなくきれいに装飾されたムーブメントが見えるモデルもあり、ルクルトは仕上げがいまいちなんていう評判が吹き飛んでしまいます。

ウェブでの評判を見ると、機構の複雑さもさることながら、やはりサイズ感が一番重要そう。自分の手首の大きさが16cmなので、あまり大きなモデルは無理そう。

そんなこんなと、もちろん価格を見比べて、自分はレベルソデュオが良いと思いました。裏と表で違うデザインの時計なんてある??なんか二つ時計を持っているようでお買い得感もある。

レベルソデュオにもいくつかタイプがあるようです。私は初代と呼ばれるモデルに惹かれました。表も裏もギョーシェ彫りがすごく凝っていて、無茶苦茶手がかかっている感があります。初代はすでに作られていないモデルで、その後もいろいろなデザインのデュオがあるのですが、私は圧倒的に初代が良いと思いました。

実機を見に行く

中古のレベルソデュオを取り扱っていて、実機が見られるお店を探しました。一つはタイムトンネルさんです。デュオ以外にもいろいろなレベルソを扱っていて、比較ができそうです。もう一つは宝石広場さんです。こちらもいろんなタイプのレベルソがあります。

タイムトンネルさん

タイムトンネルさんは、JR山手線の田端駅から徒歩10分ほどのところにあります。割と住宅地で、こんなところに時計屋さんがあるのかなあと不安になってくるころに、ガラス張りの一軒家が現れます。なかに時計のショーケースが見えます。ちょっと入りずらい感じですが、わざわざここまで来たのにと勇気を絞ります。

入り口には鍵がかかっていて、中から開けていただきます。スリッパに履き替えるのね。

まずはショーケースの中をじっくり見物します。ウェブでしか見たことのない時計が並んでいます!パテックのカラトラバ、オーデマ・ピゲのドレス時計、ブレゲのドレス時計・・・。ちょっと手が出ませんが、憧れの時計たちです。思ったより小さいんだなあ、やっぱり宝石みたいだなあ。

ひとしきり見たところでレベルソです。予習していた通りいろんなサイズのものがあります。複雑な機構を持った時計はやっぱり大きくて自分には合わなさそうです。ガラス越しに見ても、小さいレベルソの方が凝縮感があって私は好き。ウェブで調べてデュオはゴールドケース、青版の限定版しかないことを確認していました。お店の方にお願いしてその時計を触らせていただきます。

テープで保護されていてひっくり返すことはできません。手首の上に乗せたとたん、ピッタっと来ました。金時計ですので少し重さがあるのですが、それが心地よい重さで手首に吸い付いているようです。うぁお!凄い収まりが良い。自分はこのサイズだ!!ゴールド、青盤ですので、それなりに派手なはずなのですが、それを感じさせず品よく見えます。

いや~~格好いい!!でも今の自分はこのゴールドに負けてしまう・・・(@46歳)。50歳も超えてもう少し余裕と貫禄がついてからだなあ・・・。

もう一つ、レベルソ以外に良いなと思う時計がありました。同じくジャガールクルトのトリプルカレンダームーンフェイズのモデルです。黒い盤面にゴールドの月、キラキラと光るステンレスのブレスレット。盤面の黒は吸い込まれそうな色。そこに浮かぶ月。さらに月・日・曜日の分かるトリプルカレンダー。サイズも38mmと大きすぎず、小さすぎず。こっちもいいなあ。

混乱を頭に抱えて、ひとまず退散です。

タイムトンネルさんは静かなお店で、時計を見せてくださいとお願いしたとき以外には店員さんも話しかけてきたりはしません(一見さんだからかも)。そのお陰で時計をじっくり見ることができました。

次に、山手線の流れで、渋谷の宝石広場さんに行ってみることにしました(次回へ)。