ムーンフェーズ腕時計を探して ルクルト、ブランパン、ゼニス?
時計盤の中で月の満ち欠けがわかるムーンフェーズ機構。ほとんど実用性はありませんが、ふと夜空を見上げた時に見える月、はたと腕を見下ろしたときにそこにもう一つの自分だけの月、なんだか自分を励ましてくれているようで仕事の疲れも吹き飛ぶ、というシチュエーションフェチにはたまらない機構です。今回はいろいろなブランドから出ているムーンフェーズの比較を行います。
ムーンフェーズ時計が欲しい
金属ブレスのオリエントW0031AF、黒革ベルトのレベルソ、完璧なコンビと悦に入って使い分けていました。完璧な選択だなと。
ところが収集欲は止まらないものです。今度は時計屋巡りで見かけたムーンフェーズの時計がどうしても気になります。現代においてほとんど実用性のない機構ですが、自分の腕の上で、月の満ち欠けが進行しているなんてロマンティックではないですか!?もうこうなると、仕事帰りにきれいな月を見た時に、それが三日月でも満月でも、なんで自分の時計には月がないのだろうかとがっかりすることすらあります。オリエントやレベルソには失礼な話です。穂トンと病気みたいなものです。
各ブランドのムーンフェイズ時計
いろいろなブランドからムーンフェーズの時計が出ています。それぞれに特徴がありますが、私にとって一番大きな分類は、月に顔が書いてあるかどうかです。ムーンフェイズの月に古い絵本のような顔が書かれているのと、そうでないただの円形の月があり、私は断然顔が書いてあるモデルがよいと思いました。なんか顔が書いてあるといかにも相棒というか、自分を励ましてくれている感がより強くなると思いませんか?
そんなわけで顔が書いてあるモデルに目が行きます。ブランドによってその顔はまちまちです。
ブレゲ
彫刻されています。神話的なイメージを受けます。

クロノスイス
ちょっとたれ目の、優しい女性的なお月さまです。

ブランパン現行モデル
目がくりくりしていて、いたずら坊やという感じがします。

ブランパン旧モデル
新モデルと比べると、ぼーっとしているような感じがあります。

この他にも、アンティークの腕時計では月に顔が書いてあるモデルを探すことができます。
私はこの中では、なぜかブランパンの旧モデルの顔に惹かれます。ブランパンの技術者はなんでこんな顔にしたのだろう?と思いますが、なにかぼーっとしているというか、何を考えているかわからないというか、何も考えていないのではないかと思わせる顔が、くせになります。
ちなみに、顔が書いてある月のことを英語では man in the moon というようです。マイケルジャクソンさんの man in the mirror を思わせます。
ジャガールクルトのムーンフェーズ
顔が書いていなくても、これはいいと思うモデルがあります。レベルソを創成したおなじみのジャガールクルトの時計です。ルクルトからは2つのモデルが販売されています(いました)。一つは現行のマスタームーンです。シンプルな3針時計。ものすごくシックでハンサムな時計で、ピンと伸びた針が印象的な時計です。そこにムーンフェーズが浮かんでいる。ムーンフェーズはどことなく童話的なにぎやかさがある機構だと思うのですが、ルクルトのマスタームーンはとてもクールです。
もうひとつはタイムトンネルさんで見かけたトリプルカレンダームーン。こちらは月、曜日を表示するウィンドウとムーンフェーズがあり、さらに時計周囲に日が刻んであるにぎやかなモデルです。漆黒の黒い時計盤に金色の月と星が浮かぶとてもきれいな時計です。日を指し示す針の先には赤いマークがついています。人によってはこの赤い色が時計の雰囲気を壊しているという方もいるのですが、私はこの赤が時計に少しおどけたというか柔らかい雰囲気を付け加えていて、全体をにぎやかな時計にしてくれているので、これはこれで素敵だと思います。この時計は現行ではありませんが大変人気の高いモデルで、Youtubeの時計紹介でおなじみの Watchbox Reviews のTimさんも自ら保有し、perfect watchとして紹介されています。
ゼニスのクロノマスタームーン
ムーンフェーズ時計を調べていると、もう一つ気になるモデルが出てきました。クロノグラフの雄、ゼニスのクロノマスタートリプルカレンダームーンフェーズです。これもトリプルカレンダームーンフェーズですが、更にクロノグラフまでついている複雑時計です。しかも裏スケになっていてアイコニックなエリプリメロを目にすることができます。現行モデルではありませんが比較的中古で入手しやすいモデルです。
この時計にも熱狂的な支持者がいました。The Urban Gentryの動画で目にすることができます。
お値段も比較的入手しやすいこともあり、ずいぶん検討しました。ただ一つネックに思ったのがその厚さです。いろいろな機構を積みこんでいるせいか、13mmの厚さです。写真を見てもコロンとした形状を感じ、オリエントのWZ061DEと同じようになることを危惧しました。
Timezoneでの評判
海外の時計愛好家のフォーラムでTimezoneというのがあります。もちろん英語ですが、本日のリストショットや、現在のコレクション、はたまた新発売機のレビューなど、見ていてとても楽しいサイトです。ブランドごとのフォーラムもあって、ブランパンのフォーラムでmoonphaseで検索してみました。すると、いました、いました、私と同じように、ブランパンとルクルトのムーンフェーズで迷って質問している人たち。
Q:ブランパンのレマンのムーンフェイズと、ルクルトのマスタームーンはどちらがよいでしょうか?
A:類似点は以下の通り
・どちらもどのような観点からみても素晴らしい時計である
・どちらも素晴らしいムーブメントを使っている
・レイアウトは同じである
相違点は以下の通り
・JLCの見た目のほうがアールデコ調で分の刻みもなくてドレッシーである
・BPのダイアルのほうが、ホワイトゴールドの針とインデックスを使っていて、モダンである
・ステンレスのJLCは、曜日と月の表示が赤色である
・BPは、曜日と月の表示が黒色である
・JLCのムーブメントは、裏スケになっていてみることができるが、とてもよく仕上げられている
・BPのフレデリックピゲムーブメントは、蓋の裏に隠れていて見ることができないが、こちらもとても良い仕上げである。
・BPのムーブメントはツインバレルで4日間のパワーリザーブがあり、JLCのムーブメントよりも安定しているので、私はこちらのほうが好きだ。JLCのムーブメントは38時間のパワーリザーブしかないが、ローターは金でできている(BPはステンレスだ)
・BPの革ベルトのほうが、JLCのよりも品質が良いと思う
・BPのステンレスモデルはスポーティな見た目だし、100mの防水があるので、日常使いしやすい。ただしホワイトゴールドモデルや黒革ベルトのモデルは、十分にドレッシーだ
・71ブレスレット(金属ブレスレット)を付けたBPはスポーティさが増すし、このブレスレットは市場の中で最高のブレスレットの一つだ
・BPの方が価格が高く、JLCは安売りされている(2003年当時です)。JLCのほうが中古で見つけやすい
他にも同様のスレッドがありますが、ブランパンを支持する人たちは、ルクルトの赤色使いが気に入らない、ブランパンのレマンでは100時間のパワーリザーブになっていて(ルクルトは40時間)、日にちを合わせるのが面倒なこの種の時計では便利であるというのが主な理由になっています。
公平を期すためにはルクルト支持者の意見を聞かなければなりませんが、私は上の回答にすごく納得したのと、やっぱり顔がある方がいいという思いから、買うのならブランパンと気持ちが固まりました。
ブランパンのムーンフェーズ(顔つき)探し
ところがブランパンのムーンフェーズ自体が中古市場になかなか出てこないのと、たまに出てきても顔がないモデルだったりするのとで、なかなか見つけることができません。
ブランパンには二つの中古モデルがあります。一つはヴィルレというドレスライン。特徴は34mmという小さなケースサイズです。ちょっと小さすぎないかという点が気になりますが、そのせいか(?)比較的安価です。
もう一つはレマンというスポーティライン。金属ブレスがついていることが多く、100時間のパワーリザーブ、100mの防水機能付き。ケースサイズも38mmと大きくも小さくもなく、ちょうどよいサイズ。しかしレマンのモデルで顔つきの個体を探すのは相当に難しいです。
ブランパンの時計が最も多く販売されているのはタイムトンネルさんではないでしょうか。販売済みの時計を見てみると、割と頻繁に顔つきのヴィルレ、レマンが販売されているように見受けられます。頻度はヴィルレのほうが多いです。ヴィルレには、ステンレスのモデルとゴールドのモデルがあります。やはりステンレスのほうが抵抗はないかなあ。
ところが、あるあるかもしれませんが、探し出すとお目当ての時計が出なくなります。タイムトンネルさんにもなかなか顔つきのモデルが出てきません。
そんな時、名古屋にあるホーネットさんに、ヴィルレ、顔つき、ゴールドのモデルを見つけました。ただ小さすぎないかということと、ゴールドということもあって、いきなり通販で購入するのも難しい・・・。しかし時計を見るために名古屋に行くもの・・・。
とこれまた名古屋にあるビッグムーンさんに、ヴィルレ、顔つきを見つけます。こちらはステンレスで金属ブレスレットがついています。また名古屋・・・、としばらくもやもやと思っていました。と、運よく名古屋出張の予定が入りました。ホーネットさんは名古屋といってもちょっと遠そうなのですが、ビッグムーンさんは出張帰りに寄ることができそうです。よしっと行ってみることにしました。
出張帰りの夜にビッグムーンさんに行ってみます。だいぶ慣れてきて、時計店に入るのにあまり躊躇しなくなっています。まずは飾ってあるいろんな時計を見ます(こんなことをするから、次から次にほしい時計がでてくる・・・)。しばらくして店員さんにヴィルレを見せてもらうことにします。
初めて手にするヴィルレ。確かに小さいですが、腕に乗せてみると、これはダメだと思うほど小さくはありません。私の手首が細いこともあり十分に許容範囲だと思えます。一点、問題だったのは、ブレスレットの余りコマがなくて、ブレスレットの長さが限られています。私は手首の細さには自信があるので大丈夫かと思いきや、つけてみるとぎちぎちです。だからちょっとお買い得価格だったのかあ・・・。店員さんに余りゴマが手に入る可能性を聞いてみますが、確約はできないと。また革ベルトにするという手もありますが、せっかく金属ブレスで見つけたのに(ブランパンの金属ブレスには定評があります)という思いがあります。後ろ髪を引かれる思い出何度か着けてみますが、やっぱりこんなにぎりぎりだと絶対にいやになるというレベルのきつさでした。せっかく名古屋に来ましたが残念ということで、お店を後にします。
大きさにはそんなに問題がないことが確認できました。ホーネットさんのを通販で買ってしまうか、それともタイムトンネルさんに出るのを待つか、はたまた別のところで、と時計店を巡回する日々が続きます。
たまに、中古のレマンのムーンフェーズがいろいろな中古店に出ることがありました。ただウェブサイトには月が表示されておらず、顔が書いてあるかどうかわかりません。そのたびに、顔は書いてありますかと問い合わせるのですが、残念ながらという答えばかりです。
またレマンで顔が書いてあるモデルをヨドバシカメラで見たことがあります(新品ですので、購入できるような価格ではないのですが)。おっと思いますが、サイズが40mmと大きくなっています。そうすると何となくダイアルに間延び間を感じるのですね。あ~、やっぱり私はある程度小さくて凝集感のある時計が好きなんだなと思いました。